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フレアとCME
すべての太陽フレアがコロナ質量放出 (CME) を伴うわけではありません。どのフレアが物質を放出し、どのフレアが放出しないのかは、エネルギー解放の物理を理解するうえでも、宇宙天気予報の観点からも重要です。軟X線で見られるシグモイド(S字型)構造は、噴出しうるねじれた非ポテンシャル磁場の兆候として、古くから注目されてきました。
シグモイドはCMEを予測できるか
CME、太陽フレア、軟X線画像中のシグモイド構造という3者の統計的な依存関係を調べました。先行研究が報告してきた相関の再現性を検証できるよう、すべての特徴量に同一の解析手法を適用しています。対象は2006年から2015年にかけて、ひので衛星のX線望遠鏡 (XRT)、SOHO衛星の LASCO、GOES で観測された M クラスおよび X クラスのフレア 211 例です。発生率解析、線形相関解析、アソシエーション解析、コルモゴロフ・スミルノフ検定、アンダーソン・ダーリング検定の5種類の解析を行いました。
主な結果は3つです。第一に、ディスク上のイベントでは、シグモイド構造と長時間継続イベント (LDE) のほうが、フレアのX線クラスよりも CME の発生との依存性が強いことが分かりました。第二に、リム上のイベントでは、LDE と CME 発生の間、およびX線クラスと CME 発生の間に有意な依存性が存在します。第三に、ディスク上のフレアイベントのうち 32.4% はシグモイド構造をもちながら CME を伴っていない一方で、シグモイド構造がない場合に CME が発生する確率は 8.8% と非常に小さいことが分かりました。
第一・第二の結果は先行研究と整合しますが、ディスク上とリム上のイベントの違いを示したのは本研究が初めてです。第三の結果、すなわちシグモイド構造をもたない領域では噴出型イベントが少ないという点も、これまでの研究とは異なります。軟X線画像のシグモイド構造は、ディスク上のフレアイベントにおける CME 予測に有用な指標となるはずです。
→ Y. Kawabata, Y. Iida, T. Doi, S. Akiyama, S. Yashiro, and T. Shimizu, The Astrophysical Journal, 869, 99, 2018
