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非線形フォースフリー磁場 (NLFFF)

太陽コロナでは磁気圧が支配的であり、ガス圧 p と磁気圧 B^2/8π の比であるプラズマβ (=8πp/B^2) が十分に小さくなっています。このような状況ではガス圧を無視することができ、ローレンツ力がゼロになるとき、すなわち磁気張力と磁気圧がつり合うときに平衡が達成されます。

JxB=0       (1)

活動領域の磁場を再現するには、光球の磁場を境界条件として、この非線形方程式 (1) を数値的に解く必要があります。

自由磁気エネルギーはいつ・どこに蓄えられるのか

太陽フレアの中には、X字型の四重極磁場配位で発生するものがあります。このような領域で磁気エネルギーがどのように蓄積されるのかを調べるため、2014年2月2日にX字型のMクラスフレアを3回発生させた活動領域 NOAA 11967 について、ひので衛星の可視光・磁場望遠鏡 (SOT) と SDO衛星の HMI で得られたベクトル磁場マップの時系列に NLFFF モデリングを適用しました。

再構成された3次元磁場の時間発展から、最初のMクラスフレアの10時間以上前の時点ですでに十分な自由エネルギーが蓄えられており、しかもその蓄積が局所的な領域に限られていたことが分かりました。同じ領域では、フレアの9時間前から準セパラトリックス層 (QSL) が徐々に発達しはじめていました。最初のMクラスフレアで出現したフレアリボンの1本はこの QSL の位置と空間的に一致しており、QSL の形成がエネルギー解放の過程において重要な役割を果たしていることを示唆しています。

これらの QSL はポテンシャル磁場の計算では現れません。つまり QSL は非ポテンシャル磁場によって作られたものです。その形成は、先行して浮上していた磁束の光球面での水平運動と、新たな磁束の浮上とに関連していました。フレアの発生には、自由エネルギーが蓄積されているだけでは足りず、非ポテンシャル磁場中に QSL が形成されることが必要である、と考えられます。

→ Y. Kawabata, S. Inoue, and T. Shimizu, The Astrophysical Journal, 842, 106, 2017

初期条件は外挿結果にどこまで影響するか

NLFFF 外挿は、3次元磁場の初期推定値から出発する反復計算です。従来の研究の多くは、この初期推定値としてポテンシャル磁場を用いてきました。本研究では代わりに、定数フォースフリーアルファの値を変えた複数の線形フォースフリー磁場を初期条件として採用し、外挿で得られる磁場がどこまで一意に決まるのかを検証しました。

初期条件への依存性は、磁場が強い領域ほど小さくなります。その結果、低高度(およそ 10 Mm 以下)の磁場は比較的頑健であり、異なる初期条件から出発した解どうしの相関係数は 0.9 を超えました。ローレンツ力がまさにその低高度に集中しているにもかかわらず、です。

→ Y. Kawabata, S. Inoue, and T. Shimizu, The Astrophysical Journal, 895, 105, 2020

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